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それからはずっと見つめるだけだった。
一度きりの“安藤”のはんこは引き出しに封印した。
鈴華が何と言おうとも決して使わなかった。
そして卒業。
鈴華は無事大地くんとカップルになった。
でも私は啓太とも瞳とも付き合うことにはならなかった。
最後に話し掛けることも、写真を一緒に撮ることもできず、瞳と離れた。
つなぐものなんてなかった。
見つめるだけの恋。
「終わっちゃったなぁ…私の恋。」
教室を出る時、ちらっと中を振り返る。
―バイバイ、瞳。
―バイバイ、高校生の私。
「鈴華、プリクラ撮り行こ!」
***
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