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「帰るけど、由寿が眠るまではいるよ?」
「ん゙ー…」
唸り声を漏らして、由寿が鼻先を埋める。
そしてぎゅっと腕を回してくる。
私は由寿の頭を宥めるように軽く撫でた。
「どうかした?」
頭だけ由寿の方を向く。
「…ううん、」
目を閉じたまま、首を微かに横に振る。
「今、ここにいてくれるだけでいい。」
そう言って、私と毛布により挟まれるように中に潜り込む。
「…女って本当に言葉を欲しがる動物だね。」
くぐもった声で聞こえてきた言葉は、淋しくて残酷なものだった。
私は返す言葉が見つからず、由寿が眠りに落ちるまでその髪を撫でていた。
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