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それから15分程が経ち、由寿の寝息が規則正しいものになった。
私はすっかり温かくなった体を寝台から出し、床に散らばった服を拾い集める。
家の奥にある浴室の電気だけを点け、服を着、化粧を直し、香水をつける。
そっと部屋を覗くと、窓からの月光が寝台に当たり、横たわる由寿の体の輪郭がくっきりと浮かび上がっていた。
開け放たれた窓からは、すっかり止んだ雨音に代わって、秋らしい虫の声が聞こえてくる。
再び部屋に戻り、隅に置いていた鞄を持ち上げる。
そして寝台に向かい、端に腰掛けた。
気持ち良さそうに眠る由寿をそっと撫でる。
「…おやすみ、由寿。」
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