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玄関まで続く石畳を静かに歩く。
靴音が庭に響いた。
「お帰り、雛。」
扉を開けようとした瞬間に、一瞬早く中から開けられた。
「…瑞樹さん、」
玄関には、従兄の瑞樹さんが立っていた。
「何してるんですか?」
彼を避けながら中に進む。
すると腕を掴まれ、引き寄せられる。
「ちょっ…、何す」
「雛、」
名前を低くて甘い声で呼ばれたので、つい振り返る。
と同時に唇を重ねられた。
何の感情もない。
彼の唇を強く噛み、怯んだ隙に体を離す。
手の甲で唇を拭く。
「止めて下さい。」
冷徹に言い放つ。
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