アニマル・キス

8/27
前へ
/375ページ
次へ
「誰のとこにいたの?」 不敵な笑みを浮かべて、しっかり私を見据えながら瑞樹さんが尋ねる。 が、それを無視して中に上がる。 「雛、」 呼び止める声も耳には入らない。 玄関から続く廊下を歩き、上階へと向かう階段を上る。 ふと、奥から話し声がした。 「またやってる…。」 憚ることをしない両親の喧嘩声が寝室から漏れ聞こえていた。 「同性を好きになるやつは、家庭環境が悪いっていうしね。な、雛。」 不意に聞こえた声に驚き、後ろを振り返る。 すると瑞樹さんが階段を上ってきていた。 「そう思わない?」
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加