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「思いません。」
きっと瑞樹さんを睨む。
でも私の不機嫌さなんて気にもせず、笑ったまま私の部屋の扉を開ける。
「…ほら、健全な付き合いをしない?」
また彼特有の低くて甘い声で囁く。
手を差し伸べてくる。
「…出て行ってください。早く、出ていって!!」
見上げて睨むことしかできないのが悔しい。
それでも精一杯の力を込めて睨む。
「…分かったよ、」
瑞樹さんが屈んで耳に唇を寄せる。
「おやすみ、雛。」
廊下に立ち尽くした私を残したまま、瑞樹さんは横を擦り抜け階段を下りていった。
部屋に入り、電気も付けずに扉の前に座り込む。
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