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精一杯強がってはいたけど、こんなにも由寿は支えになっていた。
耐えられなくて名前を呼んでしまうぐらいに。
でも、由寿に心配をかけたくなかったから。
だから何も話せずにいる。
洗い浚い話してしまえば、きっと楽になれるけど…。
でもそれは楽になりたい人間の言訳でしかない。
着替えを済ませ、部屋の中央に横たわる寝台に潜り込む。
さっきまでの寝台と違い、冷え冷えとしている。
隣に手を伸ばしても、そこに温かい体はない。
「由寿、」
そっと呟いて目を閉じる。
さっきまで隣にいた由寿を思い出しながら。
何となく、左手が温かくなったような気がした。
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