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午前の授業を済ませ、昼休みになり、私は生物準備室に向かった。
「失礼します、」
扉を軽く叩いて声を掛け、中に進む。
「篠田先生、春里です。」
「おー。来いよ。」
白衣を着た、生物教師の篠田先生が、椅子に座ったまま振り返った。
手には箸を持っている。
「ここに座れ、春里。」
そう言って、先生は積み上げられた本類を退け、丸椅子を勧めた。
「はい…」
言われるままに座り、先生を見つめる。
先生は湯呑みの茶を一口飲み、私に向き直った。
「なぁ春里、」
いつもの柔和な表情からは想像できない程、先生の表情は強張っていた。
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