アニマル・キス

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由寿の話をしている時の篠田先生の表情は、綻んでいた。 少しだけ柔らかくなっている。 「いえ。由寿はいつも気遣ってくれています。私もよく救われてますよ。」 そう告げると、篠田先生は嬉しそうに微笑んだ。 「恋人に言われると嬉しいだろうな。」 しかし、篠田先生はすぐに元の強張った表情になった。 「春里…俺が言えた筋じゃないが、由寿にはやっぱり幸せになってほしい。特異な環境で今みたいな性格や性向になっているならいるで構わない。」 そこで言葉を切り、湯呑みの茶を飲む。 「もし由寿が泣くなら、泣かせた相手に腹も立つ。」
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