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「春里に対するあいつの所有欲は凄まじいんだよ。」
左肘を机につけた篠田先生はそこで、睫毛を伏せた。
「あいつの知らない春里がいる、ということに耐えられないんだろうな…。」
「由寿の知らない私、ですか…?」
私は思わぬ言葉に考え込んだ。
「なぁ春里、あいつにいろいろと話してくれているのか?その…両親のことや、瑞樹のこと。」
「…え?」
またしても思わぬ言葉を聞かされ、私は戸惑った。
ふぅ、と溜め息を篠田先生が吐く。
「できれば、話してやれないか?…全部とは言わない。春里が話せる範囲で構わないと思う。」
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