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「あのね…昨日言ったこと、覚えてる?」
艶やかな髪がなびく。
暑くもなく寒くもない気候が体を包む。
「女は言葉を欲しがる動物、だって。」
由寿は散らばる髪を耳にかける。
形の良い耳が露になった。
「あれね、つまり私のことなの。何らかの確証がほしくて、不安を消してくれるものがほしくて、甘えたの。雛はいつも優しいけど、自分のこととかは話してくれなかったでしょ。私をどう思っているとか、何を希んでいるかとか…。それをいいことに私は、好き勝手して、たくさんの人に甘えてた。」
一気に喋った由寿はそこで一旦切り、髪をかけ直した。
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