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「少し、寒いかな…。」
風が出てきた。
でも、由寿の掴んだ部分だけが温かい。
「…由寿、」
由寿の腕を更に重ねて掴み、引き寄せる。
すぐ近くに由寿が立つ。
「何?」
髪を押さえながら、笑って見つめてくる。
その顎を引き寄せ、軽く口唇を触れ合わせた。
その部分も仄かに熱が通ってくる。
「雛、」
「好きだから…」
しっかりとその細い体躯を抱き締める。
腕が背中に回されるのを感じた。
「雛、もっと…」
「えっ?」
顔を胸元に擦り付けながら由寿が言う。
「もっとキスして。」
頷いて、唇を下ろす。
どんどん激しさを増す。
まるで動物みたいな必死さで、私は由寿に触れる。
二人、屋上で息を上げた。
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