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知らずにいれば良かったと、後悔することはよくある。
『芹花ね、郁が好きなの。』
いつだろう。
この言葉がその意味だと気付いたのは。
『郁も芹花ちゃんのこと、好きだよ!』
無邪気に返していた言葉が、今は虚しく響く。
私は友達として芹花が好きだった。
でも芹花は…
「郁、何で毎朝先に行っちゃうの?」
拗ねた芹花の声がする。
声のした方を見ると、恨めしげに私を見下ろす芹花が立っていた。
「…芹花、だから、」
「私と約束したよね、ずっと一緒にいるって!」
「5才の時にね。」
「でも約束は約束だよ!」
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