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「…応えられないから。」
ポツリと呟く。
「ん、何か言ったか?」
首を捻り、侑登が後ろを向いた。
「何も言ってない。」
ほらほら、と侑登の背中を押して前を向かせる。
いってぇ、と横目で侑登が私を睨む。
…背中を触る手が、少し震えた。
放課の鈴が鳴り、グラウンドへ行こうとしたら、芹花がやって来た。
「郁、今日一緒に帰ろう?」
「無理。」
「どうして?」
「部活。」
「終わるまで待ってるから。」
「いい。その後、侑登と買い物行くから。」
「…。」
「もういい?急いでるから。」
その場に立ち尽くす芹花を残して、私は教室を出た。
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