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悪戯っ子みたいな笑顔で、侑登が私を見つめる。
憎らしいぐらい、楽しんでいる。
「…別に。」
イジワル、と小さく心で思ってみる。
口を尖らせて、顔を逸らせて歩く。
「俺なぁ、」
と、いきなり侑登が腕を引っ張る。
引き寄せられ、抱き締められた。
「郁でいいけどなー。」
かっと顔が赤くなるのが分かった。
ふわっとした匂いに包まれる。
香水なんかじゃない、侑登の匂い。
鼓動がますます高鳴る。
「なぁんてね。」
そう言いながら侑登が、ゆっくり離した。
「…でいいって失礼だし。それに侑登にあげるなんて言ってないでしょ。」
動揺を隠そうと、ついついぶっきらぼうな口調になる。
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