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「はいはい。」
堪えた笑いを噛み殺しながら、侑登が目を細めた。
「んー、マフラーなんかいいんじゃね?」
「マフラーかぁいいねーって、自分がほしいんでしょ!」
「あ、分かる?」
侑登がまたにかっとまた笑う。
「きっと、グレーのマフラーなんか喜ばれるんじゃね?」
「うるさいなぁーもう。」
軽い言い合いをしながら、イルミネーションに輝く道を歩く。
白く浮かび上がる息も、二人で見れば形を持つ。
私ははしゃいで、侑登と街中に出た。
侑登と別れた後、もう家に着くという直前で携帯が震えた。
「んー…誰?」
ポケットから携帯を出すと、ディスプレイに“芹花”の名前が流れた。
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