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『郁?』
携帯の向こうから、少し不機嫌で歪んだ芹花の声がした。
「なに、」
『今帰り?』
「そうだけど、」
『…侑登くん?』
「…だったら?」
芹花の、息を飲む音が聞こえた。
『ねぇ、今からうちに来られない?』
「どうして?」
『きちんと話したいと思って。』
「何を?」
『私の気持ちとか…』
私は少しうんざりしていた。
こっそり溜め息を零して、知らずに髪をいじっていた。
でも…
そろそろ決着をつける時期かもしれない。
私と芹花。
私と侑登。
歪んだ三角関係の清算を。
「…分かった。着替えたら行くよ。」
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