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「……そうかな。」
不意に核心を突かれた言葉を言われ、思わずまごつく。
「じゃ、行ってくるね。」
何か言われる前にキッチンから出る。
スニーカーに足を入れ、玄関を開け外に出た。
澄み切った夜空に、月が斜めに架かっていた。
コンコン
芹花の家の裏扉をゆっくり叩く。
すると数秒して、その扉が細く開いた。
「芹花?私、郁。」
声を掛けると、より大きく扉が開く。
そして芹花の大きな瞳が私を覗き込む。
「入って。」
すっと手が伸び、私を掴んで引く。
やんわりとその手を振り払い、私はスニーカーを脱ぎ中へと上がった。
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