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静かに階段を登り、上階の芹花の部屋へと向かう。
扉には、昔見たものと同じリースが掛かっていた。
木の蔓を編み込み、花やリボンが組み込まれた、芹花らしいリース。
芹花より先に扉を開け中に入る。
そこも昔嗅いだものと同じ匂いで満ちていた。
花の甘い匂い。
窓辺にはポプリの小瓶が置いてあり、その蓋は外されていた。
一気に昔に記憶が遡る。
パタン、と扉の閉まる音で私は引き戻された。
「とりあえず座って?何か飲む?」
私を中央の白いテーブルにつかせ、クッションを渡しながら芹花が尋ねる。
クッションもリボンやレースで縁取られている。
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