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「ううん、いい。それより、」
渡されたクッションを床に置き、私は下に敷かれていたシンプルな白いクッションに座り込んだ。
立っていた芹花は、おとなしくピンクのクッションに座る。
「…ちゃんと話そう。」
私は向かい合って座る芹花の大きな瞳を見つめた。
心なしか、潤み震えている。
「うん…」
心細いのか、茶色のふっくらした熊のぬいぐるみを抱き締める。
「で、」
窓から差し込む月明かりが、薄く部屋の中に差し込む。
間接照明のライトの温かい光が私と芹花を包み込む。
「…郁は」
ぬいぐるみに顔を埋めていた芹花が、瞳だけをこちらに向ける。
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