霙から雪になる

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「ねぇ巳悠さん、」 ベッドに載せられた巳悠さんの手を握る。 「そんな気遣いだったら、要りません。」 「えっ?」 「だから…私には遠慮なんかしなくていいんです。」 「でも、」 「遠慮や気遣いをされる方が嫌…ちょっと語弊がありますね。巳悠さんがしていて辛くなる遠慮や気遣いは要らないんです。嫌なんですよ。」 優しく指を絡ませる。 「そんな苦しい思いをさせているなら、私が巳悠さんのそばにいる意味ないでしょう?」 小さく、鼻を啜る音がした。 時計の進む音が聞こえるぐらいの静寂に包まれている。 「それに…」
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