霙から雪になる

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「雪っ…」 はらはらと、白くて柔らかそうな欠片が舞い落ちる。 後から後から優しく降り、街を冷たくしていく。 「巳悠さん、雪ですよ?」 「んー…雪?」 「そんな芋虫みたいな格好してないで、ほら、来てください。」 「ふふっ、」 小さく笑った巳悠さんが、毛布に包まって窓辺に来た。 「雪ですよ、初雪。」 外の光景を指差して言う。 窓は曇っていた。 「ふふっ、そんなにはしゃいじゃって。」 私に寄り添いながら、巳悠さんがからかうように言った。 「だって…いいじゃないですか。雪が好きなんですよ。」
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