霙から雪になる

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「折角だから、」 ベランダの窓を開けると、巳悠さんが寒そうに首を竦めた。 「初雪でも見ながらコーヒーでも飲みませんか?」 一歩外に出ると、雪空に浮いている感覚に陥る。 宙に向けて吐く息はどこまでも白い。 「ふふふっ、いいよ。」 巳悠さんも賛成してくれた。 「じゃあお湯沸かしてきますから、巳悠さんはちゃんと服を着て寒くないようにしておいて下さい。」 ぽんぽんと頭を叩いて、部屋を出る。 キッチンまでの廊下はすごく寒かったが、心は温かかった。 やかんを火にかけ、お揃いのカップを並べ、コーヒーメーカーにフィルターをつける。 お湯が沸くのが楽しみだ。
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