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「ううん、丁度先生に用事あったから。私が行ってくる。」
「そう、じゃあお願い。」
そう行って向かおうとした瞬間、腕を掴まれた。
振り返ると、珠梨が目の前にいた。
おとなしく睫毛を伏せ、唇を合わせる。
そこにだけ、熱を感じた。
「じゃ、お願い。」
ひらひらと手を振って珠梨は教室に向かった。
背中が見えなくなるのを確認して、私は職員室に足を向けた。
今触れたばかりの唇に指を重ねる。
もう何度キスをしただろう。
珠梨は何度も《好き》だと言ってくれている。
でも私は曖昧なままでいる。
どうしても、《好き》だと言えない。
(…やっぱりまだなのかなぁ。)
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