わがままなモーニングコール

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『…いさみ、』 「ん、何?」 現実に引き戻されて、茉理の声に耳をこらす。 『5時前でいい?』 優しく問う声が甘く響く。 「ん。」 『分かった。』 きっと今、睫毛を伏せた。 鼻も触ったはず。 「頑張って電話とるね。」 『当たり前。一番うるさい音にしときなよ?』 「りょーかい!」 明るく答えると、小さく“ばーか”と言う笑い声。 私もつられて笑う。 「じゃ、お願いします。」 『うん。』 「朝早いのにごめんね。」 『ううん。』 あっ、切る気配。 茉理が息を吸い込む。 私は息を止める。 『おやすみ。あったかくして寝なよ?』
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