わがままなモーニングコール

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その声だけで。 私を包む空気が温かくなる。 「…ありがと茉理。」 『いいよ、じゃあ、』 「うん。お願いします。」 『うん。おやすみ。』 「…ん、おやすみ。」 少しの間の後、耳から携帯を離し、終了ボタンを押す。 長い時間じゃないのに、不思議と満ち足りた時間になる。 「まつりぃ…」 ベッドに仰向けになり、闇色の天井を見つめる。 「まつりぃ…」 ゆっくり瞼を閉じて、茉理の顔を描く。 「まつ…」 深くて温かな眠りに落ちていく。 夢に茉理は現われてくれる? 淡い願望と明朝の期待に胸躍らせながら、私は意識を手放した。
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