『あなた』

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「じゃあ、先輩方はこっちに並んで下さい。あとは反対に並んで。」 サークル長の男の子が指示を出す。 私を含めた卒業生たちが花壇前に並び、向き合う形で愛海たち後輩が並んだ。 私の目の前には愛海が立っている。 後輩たちの抱えたいくつかの大きな紙袋から、色とりどりの花束が出てきて、各々が一つずつ手にする。 春らしい、明るい色が見えた。 「それじゃあ…」 サークル長が話し始めた。 「先輩方、卒業おめでとうございます!」 『おめでとうございます!』 足並み揃った言葉が中庭に、私の心に響く。 「このサークルで一緒に活動できて幸せでした。」
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