『あなた』

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「…もう一緒に笑ったり泣いたりできないかと…思ったら…」 「おい、涙ぐむなよぉ!」 感極まって泣きだしたサークル長に、卒業生がつっこむ。 場は笑いに包まれた。 「すいませんっ!」 目を赤くしながら、サークル長が笑う。 「それじゃあ、俺たちから卒業を祝って…。」 後輩たちが、花束と小さな箱を取り出した。 綺麗なリボンがかけられている。 愛海が一歩近づく。 目の前に立つ。 ふわりと、愛海が抱えた花束から春の香りがした。 「…潤さん、卒業おめでとうございます!」 そう言って花束と箱を渡す。 「ありがっ…!」 受け取ろうとした瞬間、ぎゅっと抱き寄せられ、抱き締められた。
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