『あなた』

8/9
前へ
/375ページ
次へ
「それじゃあ、」 サークル長が叫んだ。 「卒業される先輩方から一言ずつ、よろしくお願いします!」 卒業生が右端から順々に話し始めた。 左端の私に回るまで、それぞれが泣いたり笑ったりしながら、大学時代の思い出やこれからの決意を語る。 「じゃあ最後に潤さん、」 全員が私を見た。 愛海の視線を一番に感じる。 「お願いします。」 「はい。」 一目愛海を見てから、私は全員を見渡した。 軽く息を整える。 「大学生活は長いようで短いものでした。悔いがないと言えば嘘になるけど、いろんなことを経験できた最高の4年間でした。」
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加