quietism

7/21
前へ
/375ページ
次へ
「ふぅ…結構いい曲。」 指を撫でながらひとりごちる。 古風な言葉が連なる詞は、どこの学校も変わらない。 「もう一回弾いてみようかな…。」 そして再び指を鍵盤に置く。 息を整え、弾き始めようとした時だった。 「静かにしてもらえませんか。」 凛とした声がした。 歌声はきっと素敵だろうと、振り向くまでに考えた。 半分ほど開けられた扉の隣に、ベリーショートの女の子が立っていた。 きりっとした瞳が私を見据え、固く口を結んでいた。 「…はい?」 見惚れてしまって、間抜けな答えをしてしまう。 すると、その女の子が扉を閉め、室内に入ってきた。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加