quietism

12/21
前へ
/375ページ
次へ
「真摯に受け止めたいと思いましたね。」 「なかなか言いますね。」 そう言ってくすっと恩田先生が笑った。 私もつられて笑う。 心が和んだ。 今日は一日頑張れる。 不思議とそう思えた。 その日の授業を終え、恩田先生も帰宅された後、昨日と同じように私は楽譜を抱えて音楽室に向かった。 廊下の窓からは昨日は見られなかった景色が見えた。 晴れていたため、今日の音楽室内はからりとしていた。 心なしか、壁の肖像画の顔も輝いて見えた。 「…って怪談だよ、」 そんな独り言も出るくらい、私は楽しんでいた。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加