quietism

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静まり返った準備室に、濃厚なコーヒーの香りが満ちる。 おとなしく従った渡良瀬さんは今、ソファに座っている。 私は少し離れて立っていた。 無言が続く。 こんな時って、どうしたらいいのかな―…。 教師としてでなく、人として。 渡良瀬さんの力になりたい。 「…香芝先生。」 「ん?」 「教師、楽しいですか?」 「楽しいよ。」 「砕けた口調で…」 「いいじゃない、もう放課後だし。」 「変な理屈。」 「…気にしないの。」 ようやく渡良瀬さんは喋りだした。 「ねえ、渡良瀬さん、」 「はい?」 「何かあった?」
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