quietism

20/21
前へ
/375ページ
次へ
渡良瀬さんのカップを受け取り、私のとまとめて片付ける。 渡良瀬さんは考え込むように、ソファに座ったままだった。 「…たまには、違うものを見て、聴いて、感じて。」 小さく私は呟いた。 「あなたなら、すぐに気付くわ。」 荷物と準備室の鍵を持ち、私は渡良瀬さんを見た。 「また明日いらっしゃい。私はちゃんと待ってるわ。ちゃんと見ていくから。」 顔を上げた渡良瀬さんは、首を傾げた。 「騒音の中から、あなたの静寂を見つけていくの。それはあなたにしかできないことだから。それに向き合い、踏み越えていく姿を、私は見守っていくわ。」
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加