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電車通りをしばらく歩くと、私が下宿している《なるみ屋》がある。
ここには10人程の女子高生が下宿していて、同じ高校の子もいれば違う高校の子もいる。
「ただいまー。」
帰ったら挨拶をするのが《なるみ屋》の決まり。
本当に家に帰って来たみたいで、私はほっとする。
靴を脱いで、青と白のボーダーのスリッパを履く。
とんとんと階段を上り、2階の奥の角部屋に向かった。
部屋に入り、閉めきっていたカーテンと窓を開けた。
道路を挟んで向かい側にある大きな寺の桜の木も、風にその緑の葉を揺らしている。
自然と顔が綻ぶ。
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