男 と 女

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深呼吸をして、新鮮な空気を体一杯に吸い込む。 もう一度桜の木に目を遣り、手早くカーテンを閉めた。 朝の内に用意しておいた着替えに袖を通す。 黒のスキニーパンツに白のポロシャツ。 相変わらず男の子っぽい趣味は変わらない。 でも体は次第に丸みを帯びてきて、否応なく律と捷とは違う性だと教えてくる。 「…っと、バスに遅れる。」 私は机に置いている時計を見て、荷物を詰めたボストンバッグを掴んで部屋を出た。 停留所に着くとタイミングよくバスが滑り込んできた。 数人の高校生の後ろから乗り込み、運転席後ろに座った。 車内は空いていて、程よく空調が効いていた。
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