男 と 女

5/10
前へ
/375ページ
次へ
15分程バスに揺られ、澄み渡る青空を見上げながら駅前ロータリーに降り立った。 駅前の桜の大樹が緑の手を大きく拡げている。 気持ち良い風が髪を撫でる。 気温もぐんぐん上昇している。 駅舎に掲げられた時計を見やると、予定していた電車の時間が迫っていた。 慌ててボストンバッグを掴み直し、携帯を取出す。 履歴を呼び出しながら構内に向かう。 「あっ、お父さん?温だけど…うん、今駅着いた。うん…」 電話をかけ終え、買った切符を改札機に吸い込ませる。 かしゃんと吐き出された切符を取り、掲示板を確認しホームに向かった。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3153人が本棚に入れています
本棚に追加