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廃線が囁かれる古い電車に乗り込み、私は窓際の一人掛けに座った。
陽光が窓から降り注ぎ、私を優しく包む。
車内アナウンスが流れ、電車はゆっくりと走りだした。
街並が後ろへと流れ去っていく。
「………温?」
小さく誰かに呼ばれた気がして、私は景色から目を離した。
丁度、途中の駅に着いたところで車内は賑やかになっていた。
「…………新、」
私は目を瞠った。
彼は私を見つめていた。
「…久しぶり。帰るとこ?」
ふっと視線を外した新は、私の席の横に立った。
車内は立ち乗りするまでに混んでいる。
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