男 と 女

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「あかり?うん、でも最近は連絡取ってないよ。高校が違うと、やっぱり会えなくなるし。」 「俺も…」 新が少し遠い目をした。 きっと中学を思い出しているはずだ。 「ねぇ新、」 「…ん?」 まだぼんやりしている新を呼ぶ。 「…最近どう?」 「…………温こそ、」 ふたりの間に、開け放した窓からの潮風が通り抜ける。 久しく嗅いでいなかった“男の子”の匂いがする。 独特の、何かを引き寄せようとする引力を持つ、匂い。 「…私は、」 どうしてだろう、朋の顔が浮かぶ。 太陽みたいにきらきらと笑う朋の笑顔が。
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