男 と 女

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「気持ちいいー」 ポロシャツの裾から、潮風が忍び込む。 ゆっくり伸びをして、胸いっぱいに空気を吸い込む。 「温、」 新の呼ぶ声がした。 振り返ると、駐車場に向かって歩いている新が手を振っていた。 私も大きく振り返す。 清々しい気分になる。 もう一度空を見上げた。 まばゆい太陽。 晴れ渡る青空。 (朋にも見せてあげたい) 私は鞄から携帯を取り出した。 カメラを起動させる。 パシャッ 空の一部分を切り取った写真を、メールに添付する。 このメールを読む朋の顔が浮かぶ。 送信を済ませた私は、ボストンバッグを持直し、父の待つ駐車場へと駆け出した。          終わり
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