小さな鍵の向こう側

5/7
2654人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
春が来て私は5ヶ月になった 産婦人科の前に見覚えのある男の人が立っていた 松田さん…凌の後輩の人だ 『松田さんですよね?こんなとこで何してらっしゃるんですか?奥さん待ち?』 『あなたを待ってました』と一枚の紙を出した そして土下座して私に謝った 『まさか妊娠してるとはしらないで!高橋さんに口止めされてたんです』 私は意味がわからず、とにかく近くの喫茶店に松田さんを連れて行った 『その紙の住所、電話番号は今高橋さんがいるところです。高橋さんは警察官を辞めてはいません、この村の駐在所に勤務してます』 『すごい離島ね(笑)』 『あなたが妊娠してるとうちの刑事が誰かから聞いたらしいんです。で俺探したんです、やっとこの病院…3日張りました(笑)高橋さんはあなたを悲しませたくないから、東京からでる。誰がきても漏らすなって』 凌… 『でも今年入って、よくひばりさんの事言うようになって…元気でいるか一度みてきてくれないかって。で、マンションいったら空き部屋になってました』 『5ヶ月なの。もうちゃんと身体わかるのよ(笑)』 『もしまだ高橋さんを思ってるなら一度連絡してくれませんか』 『許すもなにも…凌が元気なら。ありがとう。私も忙しくなるわ』 私はお腹を撫でながら笑った
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!