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コノママから抜け出したい。
縛られている感覚はない。ただただ生かされている感覚だ。
生ぬるい粘液質の中にいるようで、それは一見透明で、その中にいるようではないのだが、そこにいると気付いた時には、それは肌にまとわり付き、もがいてももがいても粘液質の中から抜け出すことは出来ない。
体のごく近くの粘液質が少し動くくらいで周りが大きく変化するでもない。
僕は粘液質を体内に取り込み、何も苦労せずに生きる為の最低限の糧を得る。
そこからどうすれば解放されるのか。
されるなんて待つだけではだめだ。抜け出さなければ。
でも僕には何ができるのか。
小学生でそんなこと考えていたのかって君は笑うだろうか。
でも僕には深刻な悩みだったんだ。
でも当時の僕には何もできなかった。それはそうだ。今までに経験なんて経験はないし、周りの協力を得るようでは意味がないし、まず理解すらしてくれないだろう。
僕は少しづつ諦めに似た感覚を抱くようになっていた。
それを同じくして学校にも行かなくなっていった。行く意味がわからなくなってしまったからだ。
それでも養父母はまだ何も言わず僕にシアワセを与えるのであった。
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