ヒカリ

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窓から入る矢のような光の筋だけが、唯一の灯りとなり、薄暗い中僕はただ天を仰いでいた。 もし出来るなら透き通るほどの青い空を仰ぎ、満点の星空に万年の思いをめぐらしたい。 しかし、当時の僕にはそんな気力はなかった。 虚無感、脱力感、不当感、当惑その他ありとあらゆる負の感情が僕を支配していた。 今まで生きてきたというよりは、生かされてきた、そしてこれからも生かされていくという現実は、翔べない雛鳥を断崖絶壁から解き放つような残酷さだ。 いつかきっと。 そんな少しの希望だけで僕は現実とつながっていた。 時間は止まらない。無駄に流れてゆくだけで。雲のように気付けば遥か彼方に流れている。 僕はもう14歳だった。
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