スキマ

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もうそこでいいよ… 優しい声に振り返った。しかし周りには虚しいだけの時間が広がるだけで、いま振り返ったのは空間的ではなく、時間的なものだったのかもしれない。 夏の日が走馬灯のように繰り返される日常に、一滴の潤いを与えてくれたのは君だった。 いつしか君を想い、そして僕の中で風船のように君が広がりだす。 走り去る車の後に、遅れてくる風のように、僕がそのことに気付いたのは暫くのタイムラグがあってからだっだ。 もう少しゆっくりとした時間と日常を君と過ごすことが僕の夢で、あたかも物語の勇者が悪を打つことが必然と感じるかのように、僕はなんの躊躇いもなかった。 もしくは馬車馬のように進むことが宿命付けられたかのように、ただそれに向かって進むのだった。 でも、どうして僕はこの世界に独りなのか。 君はとらえきれない時間の中に埋もれてしまった。
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