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もし他のだれかが、君ではない誰もその代わりはなれないだろう。
確かに物質としての存在だけならば勤まるかもしれないが、それだけでは僕の心とよばれる部分を不完全にさせてしまう。
君を感じるのはその目であり皮膚でありそれら五感でのはずが、なぜか僕はそれ以外の、薄暗い部屋の中でさらに色を失われたような不鮮明な不確かな、歯痒いばかりの感覚の中に感じとろうとするのだ。
君はどのような捉え方をしてくれてるのか。
それは、きっと言葉では表せないのかもしれない。
僕がそうであるように、またすべての人が愛する対象に抱く感情がそこに顔をだすのだ。
まだ君の温もり、息遣いそれらがうっすらと遺るこの空間において、僕は次第に忘れられていた感覚をとりもどそうとしていた。
それは幼い子どもが親とはぐれたような、また暗闇の中に得体の知れないものを感覚で捉えたような。
恐怖。
これから僕はこの世界に独りで存在しなければならないのだと確信しはじめた。
君はもう別の世界にいってしまったのかもしれない。
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