スキマ

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突然の感覚に襲われることで、すなわち別の感覚がすべてのそれを瞬時に支配してしまうことであり、僕が宗教に傾倒しない中ですら、何か神仏的なものを感じ取ってしまう。 いや、感じ取ってしまわなければ、自分の中が孤独という恐怖に支配されてしまう。 なにかしらの答えを求めていたのかもしれない。 しかし、その感覚にとらわれ、恐怖に怯えながらも、僕は達成感を感じていた。 人間が新たな発見をしたときのような充足感ともいうものをだ。 傍らにあるそれがいつからか部屋の中に溶け込み、普通の生活の一部と化していくようなものを僕が創ったのだ。 もう戻ることの出来ない、いや、しかしまだ俗世界からは完全に孤立していないなかで、僕は今からどのように行動することが正しいのか。 正当化された行動の裏付けを求めて、再度僕は恐怖という感覚にあえて没頭するのである。 もう今では過去の君の思い出をさかのぼるのは一種の自己防衛であった。
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