ヒカリ

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僕は小学校からクラスの中では目立たない、所謂、フツウの子どもだった。 勉強もフツウ、運動もフツウ、とりたてて得意なものもない。 それでも養父母は僕に何も勧めることはなかった。 僕もそれが心地良かった。 しかし僕の周りにはこれとは全く違う人間がいた。 常に成績がトップでなければならず、それを両親から与えられた使命のように生活をする。それを全うする。 それを見るたびに僕は疑問に思った。 彼らは何を目指し生きているのか。 そして自分に照らしあわせる。 すると何が幸せなのかわからなくなってくる。 彼らは日頃プレッシャーの中で生きている。小学生にそんな意識を持っているかは別なのだが、僕からはそう見えた。 それは一見不幸せのようであるが、生きる上ではこのうえなく幸せだ。 生きる目的があり、周りからもわかるようなカタチで成果があがる。もちろん成果があがらなければ彼らはきっと堕ちてしまうかもしれないが。 それに比べて僕といえば、何も望まれず、ただただ時間という広大な海の中で与えられる幸せで満足しているようだった。 それでいいのか。
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