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「いえいえいえ!このようなおもてなししか出来ずに」
お互いに、ニコニコと笑いその場を濁す二人
「……さて、それで?」
「それで、とは」
三蔵はうざったそうに髪をかきあげた
「ただのご機嫌とりに来たわけでは無いでしょう?私に依頼を、それも妖怪退治関係の事でしょうね」
目をみはり驚く村長
「そ、そこまでお気づきでしたか!」
「所々荒らされた村の様子。そして若い女性の姿が見えない事……何より、これだけ妖気が残っているのに村が無事なのはおかしい。つまり」
この村は妖怪に飼い殺しにされている
全て聞き終わった後村長は物凄い勢いで頭を下げた
「お願いです三蔵様!!我々の村をお助け下さい!」
三蔵法師は冷めた目で一瞥し、溜め息混じりに言った
「私達は妖怪退治をして廻ってる訳ではありませんよ」
「どうか、どうか三蔵様!」
床に頭をこすりつける村長を見下ろし、三蔵法師は舌打ちを一つその顔は不機嫌に歪んでいた
「この先、丘辺りですね。妖気が集まっています」
悟浄はそう言うと、前方を差した
「しっかし、流石だねぇ。水妖の流れを読む力はさ。妖気の流れまで辿れるとは」
「これしか取り柄が無いんですよ」
「ご謙遜。お前もちょっとは見習えよゴクウ」
「うっせ。てめぇからボコすぞ」
ハッカイのからかいに口悪く応えたゴクウはしかし、愉しそうにしていた。いや、わくわくしているという感じか
「愉しそうだなゴクウ」
「お前は乗り気じゃなさそうだな。サンゾウ」
三蔵法師は先程の村長の話を聞いてからずっと仏頂面である
「『此処から妖怪共を消す』。乗り気な訳ないだろう……面倒臭い」
「なんだかんだ言って困ってる奴を見過ごせないハニーはかわいいっ痛っ!」
重そうな錫杖で脳天を叩かれ黙る悟浄
「阿呆な事を抜かすな。行くぞ」
「そうだ!ぶっ飛ばしに行くぞ!」
ゴクウの一言に三人は溜め息混じりに歩みを進めた
「何だてめーら!」
「村の奴らか?」
丘になっている場所まで出ると三蔵達に気付いたのか、チンピラのような妖怪が四人。アジトらしき洞穴から出てきた
「お前らの頭呼んでこい。私様が直々に話をしてやる」
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