ワタクシ様が〝三蔵法師〟だ!

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 「もういいかヨ?おいっ!三蔵法師以外はヤッちまえ!」  余裕の現れか律儀に待っていたリーダーが手下を扇動する  オオオオォォォ  そして、百人近い妖怪が殺到する  「うらぁ!俺様が相手だ!」  ゴクウが如意棒で正面からの敵を蹴散らす  「ハニーに近寄んな」  ハッカイが右後方を力で押し返す  「ここから先は行かせません」  ゴジョウが左後方を受け流し、絡め翻弄する  そして、三蔵法師の経を詠む声が朗々と響き渡る  戦闘は混迷化していた  敵は全員で四。対してコッチは百…いや最初に数人ノされて減ったが、それでも百近くの血気盛んな妖怪の群れだ  「タチの悪い冗談だな…オイ」  それが、こうも一方的に減らされる状況。夢と言った方が納得出来てしまう。確実に悪夢だが  「何だコイツら強すぎる!」  「チクショウ!何人やられた」  「か、数ではコッチが圧倒的だ!怯むな!」  飛び交う怒号、悲鳴はやはり部下達の声しか聞こえない  三人の妖怪、その中で一番戦闘力の高いのは喚いていた童だった  (大口叩いていただけはあるって事カヨ。だが…)  三人の妖怪は強い。予想を超えた由々しき事態だ。それでも、いや〝そんな事〟より目に映るのはもう一人〝三蔵法師〟  目が離せなかった  経を唱えるその姿は貴く、気高かった  同時に妖怪としての本能が告げていた  (ヤバいのがくる)  だが、体は動かない。少しでも永く彼女の経を聴いていたかった  「―――」
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