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僕は次の日から傘とタオルを鞄に入れ毎日バス停で彼を待つようになった。
でも一ヶ月経っても彼の姿を見付けることは無かった。
あれから数ヵ月が経ち梅雨になった、僕は雨の中バス停で雨がやむのを待っていた。
(あの日も雨だったな)
空は灰色に似た雲が続き晴れる気配が無い。
『おいっ、大丈夫か?』
いつの間にか寝ていたのか誰かに起こされた。
「大丈夫です。雨がやむのを待っていたら寝てしまっただけです…あっ!」
僕は起こした人が彼だと分かると袖を掴んだ。
「あの…僕……」
最初は驚いていた彼は僕の話を聞くと思い出したように笑ってくれた。
『風邪、ひかなくて良かったな』
「はい。あの傘とタオルありがとうございました」
『律儀な奴だな。普通なら気味悪がって捨てるか忘れるかなのに』
彼は渡したタオルを鞄に入れ言った。
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