3人が本棚に入れています
本棚に追加
「傘もお返しします」
『良いけど、そしたら君の傘は?』
「あっ…」
『まだ借りていなさい』
彼は笑い僕に傘を渡した。
彼と話していると雨の日以外は原付で会社に通勤していて、雨の日はバスに乗ると聞いた。
「また雨の日に会えますか?」
僕は雨の日が楽しみになっていた、彼に会えるからなのだろうか?
でも梅雨の終りを感じる雨の日に僕は彼から悲しい言葉を聞いた。
『7月に転勤が決まったんだ』
「会えなくなるんですか?」
僕は動揺した。彼の転勤は、やりたい仕事が出来るチャンスで喜ぶべきなのに。
『君と会えなくなるのは寂しいね』
彼は苦笑して僕に言った。
「…聞いていいですか?初めて会った日、何故僕に傘を?」
彼は困った顔をした、聞いてはいけなかったのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!